産後に妻が変わったと戸惑う夫へ。冷めるのは妻だけじゃない
「妻が変わった」と感じているのは、あなただけじゃない
産後に妻が冷たくなった、あるいは別人のように怒りっぽくなったと戸惑っていませんか。 実は、そのように感じている夫は少なくありません。
ベネッセ次世代育成研究所が、妊娠中から出産後まで約300組の夫婦を追跡した調査があります。2012年にNHK「あさイチ」で紹介され、「産後クライシス」という言葉が広まるきっかけになったデータです。 これによると、「配偶者を本当に愛していると実感する」と答えた人の割合は、妊娠期には夫・妻ともに74.3%でした。しかし、子どもが2歳になる時期には、夫は51.7%、妻は34.0%にまで低下しています。
この結果から、産後に愛情が冷めるのは妻側だけではないことがわかります。夫側の愛情もまた、この時期に大きく低下しているのです。
産後の妻に何が起きているのか
なぜこれほど急激に変化するのでしょうか。 出産後から子どもが2歳ごろまでに夫婦の関係が急速に冷え込むこの現象は、メディアなどで「産後クライシス」と呼ばれています。
この時期の妻の心身には、ホルモンバランスの激しい変化や、毎日の睡眠不足、そして生活スタイルの激変など、さまざまな負担が重なっています。これらが重なり、心身ともに限界に近い状態になりやすいと言われています。
もし、妻のつらそうな状態やイライラが長く続き、様子が心配な場合は、家庭内だけで抱え込まず、産婦人科や自治体の相談窓口といった専門家に相談することも大切です。
正直に書くと、自分の側も冷めていた
当時のことを振り返ると、私(ケイ)自身も妻に対して冷めていくのを感じていました。
子どもが生まれると、妻の優先順位は完全に子どもへと移ります。一方で、私の優先順位は仕事になりました。いつしか夫婦は、日々の予定やお金の管理といった業務連絡をするためだけの関係になっていきました。
家の中にいても、自分は「いてもいなくてもいい存在」のように思え、強い疎外感を感じていました。妻が子どものことばかり気にかけて自分を見てくれず、かつて自分に向けられていた愛情がすべて子どもに奪われてしまったような寂しさがありました。
さらに、妻が「母」になっていく姿を見て、私の中で一人の女性として見る感覚がどんどん薄れていきました。この「家族化」こそが、のちに私が抱えることになる妻を愛せない罪悪感の始まりでした。
当時は、冷たくなった妻に対して小さな苛立ちを覚えることもありました。しかし、後から考えれば、妻は人生で一番余裕がない時期を必死に生きていただけでした。妻を責めるのは間違いだったと、今は思っています。
やって逆効果だったこと
当時、良かれと思ってやった行動が、実は逆効果だったことがあります。
妻の負担を少しでも減らしたいと思い、私は「何かできることある?」とよく声をかけていました。一見すると親切な言葉に見えますが、これが失敗でした。 妻からすれば、限界状態の中で「何を頼むか」を考えること自体が大きな負担だったのです。指示待ちの姿勢は、かえって妻を疲れさせる結果になりました。
また、妻が常にピリピリしていることに対して「なぜそんなに不機嫌なのか」と問いただすことも逆効果でした。妻の不機嫌に疲れるからといって、こちらの都合で機嫌を直そうと求めても、関係はさらに悪化するだけです。
責める前に、自分の行動からできること
相手の態度を変えようとするのではなく、まず自分の行動を変えること。これが、倦怠期は何年目に来るのかにも書いた、この時期を乗り越えるための芯になる考え方です。
先ほどのベネッセ次世代育成研究所の調査には、もう一つ参考になるデータがあります。産後に夫への愛情が下がらなかった妻の多くが、「夫は家族と過ごす時間を努力して作っている」「夫は私の仕事・家事・子育てをよくねぎらってくれる」と感じていました。その割合はどちらも7〜8割にのぼります。
この結果を踏まえ、今日からできる具体的な行動は2つあります。
具体的な提案で動く
「何か手伝う?」と聞くのをやめました。自分で育児書やネットの記事を読み、やるべきことを勉強します。その上で「お風呂掃除をしておこうか?」「自分がオムツを替えようか?」と、具体的な提案をするようにしました。指示を仰ぐのではなく、自分で考えて動くことが、妻の負担を本当に減らすことにつながります。
業務連絡に「ねぎらい」を添える
どうしても業務連絡ばかりになりがちな時期ですが、そこに一言、ねぎらいを添えるようにしました。ありがとうと言えない時期もありましたが、LINEの返信に「いつも子育てありがとう」と書き加えるだけでも、家庭内のトゲトゲした空気は和らいでいきます。
カラダノートが2019年に行った調査(回答1,202名)では、産後に夫への愛情が冷めたことが「ある」と答えた妻が62.3%に達しています。冷めたきっかけには「夜泣きに対応しない」「自分(夫)優先の言動」などが挙がっていました。裏を返せば、夫が自分から動いてねぎらう余地が、まだ残っているということです。
産後の数年を、倦怠期の入口として乗り切る
産後に夫婦関係が冷え込むのは、どちらか一方が悪いという「犯人探し」の問題ではありません。生活環境と体調の急激な変化が生んだ、必然的なすれ違いです。
感情が一度冷めてしまうと、すぐに元のラブラブに戻ることは難しいかもしれません。しかし、気持ちの回復を待たずとも、まずは自分の行動を少しだけ変えることで、家の空気を変えることはできます。
具体的な行動の起こし方については、こちらの倦怠期の乗り越え方で詳しく書いています。
まずは今日、妻に対して「何か手伝う?」と言う代わりに、自分で気づいた家事を一つ片付けることから始めてみてください。その積み重ねが、産後の数年間を乗り切るための確かな土台になります。