倦怠期に浮気したくなる夫へ。逃げる前に、失うものの計算だけしてほしい
最初に立場を明確にしておくと、自分は浮気を経験していない。ただし、揺れたことはある。結婚7年目、倦怠期の底で、職場の飲み会の帰りに「このまま帰りたくない」と思った夜のことは、隠さず書きます。
「夫婦 倦怠期 浮気」で検索すると分かるが、出てくるのは探偵事務所の「浮気調査のご相談はこちら」か、妻向けの「夫の浮気の兆候チェック」ばかり。浮気したくなっている側の夫に向けて書かれたまともな記事が、ほぼ存在しない。説教でも宣伝でもない記事が必要だと思ったので、これを書いています。
倦怠期に外を見たくなるのは、異常ではない
まずここから。家庭で感情が動かない時期に、外で感情が動く相手が現れたら惹かれる。これは人格の欠陥ではなくて、ただの仕組みです。
倦怠期の記事に書いた通り、倦怠期の正体は「相手から新しい刺激が発生しなくなった状態」。そこに新しい刺激そのものである他人が現れれば、比較になるに決まっている。新品と9年使った道具を比べているようなもので、フェアな勝負ですらない。
だから「惹かれてしまう自分」を責める必要はない。問題はそこからの一歩だけ。
踏みとどまった理由は、道徳ではなく算数だった
あの夜、帰りの電車で自分がやったのは、モラルの反省ではなく損益計算でした。正直にその中身を書きます。
失う候補は、こうだった。
- 子どもとの毎日(発覚すれば親権はまず取れない。会えて月数回)
- 家と資産の半分、場合によっては慰謝料(不貞は法定離婚事由なので、こちらが「有責」になる。条件交渉で一生不利)
- 双方の親、共通の友人、職場での信用(社内なら特に)
- 「やましさのない日常」(発覚前から失う。スマホを伏せて置く生活が始まる)
得るものは、しばらくの高揚感。しかもこの高揚感、倦怠期の項で書いた通り数年で必ず切れる性質のもの。切れた後に残るのは、今より条件の悪い倦怠期です。
計算が合わなかった。それだけの話で、聖人だったからではない。
ひとつ付け加えると、「バレなければ失わない」という反論が自分の中からも出たが、調べた範囲では、続いた不倫は行動パターンの変化(帰宅時間、スマホの扱い、金の流れ)からほぼ発覚している。バレない前提は計画ではなく願望だった。
「刺激の欠乏」は家庭の外でしか埋まらないのか
揺れた夜のあと、考え方を変えた。欲しかったのは特定の相手というより「感情が動く時間」だったので、それを不倫以外で調達できないかという問題設定にした。
- 一人の趣味を再開した(自分の場合は自転車。10年放置していた)
- 仕事で新しい領域に手を挙げた(感情が動く場所を家庭の外に作ること自体は健全だと思う。恋愛である必要がなかった)
- 妻を「家の人」以外として見る時間を作った(愛情は戻るのかの記事に書いた月1フリーの取り組み)
全部地味です。でも「外で感情を動かしたい」という圧力は、恋愛以外の供給でちゃんと下がった。逆に言うと、趣味も挑戦も全部枯れた状態で倦怠期に入るのが一番危ない。
もう始まりかけている人へ
説教はしないと書いたので、事実だけ並べます。
- 連絡を断つなら、関係が浅いうちほどコストが安い。「いい人のまま終わる」が可能なのは今だけ
- 「妻とうまくいっていない」と相手に話している段階は、本人の認識より3歩進んでいる(それは口説き文句として機能してしまっている)
- 離婚してから、と順番を守る選択肢もある。その場合の話は倦怠期と離婚の記事に書いたが、有責配偶者になってからの離婚と、なる前の離婚は、条件が全く違う
それでも進む人は止められないが、進む前に上の損益計算だけは一度やってほしい。紙に書くと、たぶん冷える。
妻側の浮気が心配な人へ
このキーワードで検索する人の中には、自分ではなく妻の浮気を疑っている夫もいると思う。一言だけ。
倦怠期の家庭で妻の行動が変わったとき、最初にやるべきは探偵への依頼ではなく、家庭内の会話量の確認だと思っている。兆候チェックリストの大半(スマホを離さない、外出が増えた、口数が減った)は、浮気がなくても倦怠期なら起きる。疑いから入ると、無実だった場合に関係へのダメージだけが残る。
調査や法律対応が必要な段階なら、それは専門家の領域なので、ここでは扱いません。
倦怠期の浮気は、火事場の暖房みたいなものだと思っている。寒いから点けたくなる気持ちは本物。でも家ごと燃える。寒さの対処は、別の方法でやりましょう。