喧嘩になると黙り込んでしまう。何も言えない自分と、沈黙が妻を怒らせる悪循環

喧嘩になると、頭が真っ白になって何も言えなくなる

夫婦の間で喧嘩や難しい話し合いになったとき、言葉が詰まって黙り込んでしまう。 「何とか言ったら?」と怒られても、余計に固まって何も言えなくなる。

私は長年、この沈黙による悪循環に悩んできました。 以前に夫婦関係の診断を紹介した四騎士に関する書評記事のなかで、私は「逃避(話し合いになると黙る・席を立つ)」の常習犯であると書きました。まさにそれです。

頭の中では「何か答えなければ」と必死に考えているのに適切な言葉が見つからず、黙っているうちに時間だけが過ぎて妻のイライラはさらに募り、そのプレッシャーでますます言葉が出なくなります。 この黙り込みは、決して冷めているからでも、無視しようとしているからでもありません。ただ、どう返していいか分からず固まってしまっている状態です。

なお、相手を意図的に無視し、コントロールするために沈黙を利用している自覚がある場合は、これは単なる態度の問題ではなく、無視という支配(モラハラ)の領域に入ります。そのような場合は自己解決を模索せず、専門機関や専門家に相談してください。本記事で扱うのは、あくまで「言葉が出ずに固まってしまう」状態への対処です。

なぜ黙ってしまうのか(自分の場合)

私の場合、黙り込んでしまう場面には明確な傾向があります。

もっとも多いのは、YesともNoとも答えづらい複雑な話を振られたときです。 例えば、妻から仕事のことで相談をされたとします。私なりに意見を伝えても、「そういうことじゃない」「あなたは技術職ではないから分からない」と否定されてしまう。そうなると、次に何を言えば正解なのかが全く分からなくなり、言葉が詰まります。

また、妻の生理が来なくてしんどい、といった、私自身ではどう解決することもできない体調の悩みを打ち明けられたときも同様です。同情するだけでは足りないような気がして、どんな言葉をかけるのが正解なのかを探すうちに、そのまま固まってしまいます。

妻は「批判」から入る話し方の癖があり、私はどうしても防戦一方になりがちです。頭のなかで必死に言葉を探しているのですが、適したフレーズが見つからないまま、時間が経ってしまいます。

黙っていることが、妻をさらに怒らせる理由

黙っている本人は必死に考えているのですが、相手に伝わるメッセージは全く異なります。 沈黙は、相手からは「話を聞く気がない」「逃げている」「無視されている」と見えてしまうからです。

妻は私のこの沈黙が非常に嫌いで、何度も「その黙るのをやめて」と怒っていました。 しかし私が黙り込むと、妻はさらに「何か言いなさいよ」と問い詰めてきます。その問い詰めに圧倒され、私の脳内はさらに機能停止に陥り、言葉を完全に失う。 この悪循環に入ると、夫婦喧嘩は解決に向かうどころか、沈黙そのものが新たな争いの種になってしまいます。

もし、沈黙ではなく、自分の中に湧き上がった怒りをそのまま言葉にして妻と衝突してしまう場合は、態度の種類が異なります。その場合は、こちらの妻へのイライラと自責に関する記事を参考に整理してみてください。

なお、黙ったり涙が出たりする反応そのものを「被害者ぶるのやめて」と責められてしまう場合は、また別の苦しさです。それは黙る・泣く反応が操作と受け取られる二重拘束の記事に分けて書きました。

「うまく話す」を諦めて、やったこと

黙り込む原因は、自分のなかで「完璧な回答」「相手が怒らない正解の言葉」を探そうとしすぎていることにありました。 そこで私は、うまく話そうと努力することを諦めました。

言葉を探すのをやめ、代わりに「今、黙っている状態そのもの」を相手に伝えることにしました。

具体的には、話し合いの最中に言葉が詰まった瞬間、 「今、頭の中で言葉を探しているから、少し待ってほしい」 とだけ伝えるようにしました。

この一言を挟むだけで、妻の反応は変わりました。 「無視して逃げている」のではなく、「話を聞いて考えている」という状態が伝わるため、妻がそれ以上問い詰めてくることが少なくなったのです。

日常的な会話量を増やす方法については雑談がない悩みの記事に書いていますが、難しい対立場面においては、まずは「沈黙の理由」を開示することが欠かせません。また、妻自身がイライラしているときの対応については不機嫌な妻との付き合い方で触れていますが、こちらが黙り込んでしまうケースでは、まず「逃げていない」姿勢を示すことが効果的です。

それでも直らない部分と、直った部分

「今考えている」と伝えるようになってから、喧嘩の最中に妻をさらに激怒させるような決定的な衝突は防げるようになりました。 かつての、口もきかずに何日も過ごすような家庭内別居になりかけた話のときに比べれば、大きな変化です。

それでも、対立場面で言葉がスムーズに出てこないという私の性質そのものが直ったわけではありません。 相変わらず、難しい話をされると頭が真っ白になりますし、妻に問い詰められると固まります。

しかし、「雄弁に語り合う夫婦」になれなくても、「黙って相手を追い詰めない夫婦」でいることはできます。 うまく話せないという自分の弱点を認め、ただ「考えている」という状態だけは示す。 その割り切りが、対立の場面を乗り切るための現実的な着地点だと思っています。