冷めた夫が『結婚生活を成功させる七つの原則』を読んだ正直な感想。効いた章と、読み飛ばしていい章
夫婦関係の本を探すと、どの記事でも必ず出てくるのがジョン・ゴットマン『結婚生活を成功させる七つの原則』。離婚を考えていた時期に、藁にもすがる気持ちで買った。
先に総評を言うと、買ってよかったが、半分は読み飛ばした。書評記事はだいたい絶賛一色なので、冷めた側の夫として、効いた部分と効かなかった部分を分けて書きます。
この本の信用できる点
著者のゴットマンは米国の心理学者で、何千組もの夫婦を実験室で観察して「どの夫婦が離婚するか」を高い精度で予測したという研究で知られている。つまり内容が「べき論」ではなく観察データから来ているのがこの本の強みで、自分が最後まで捨てなかった理由でもある。
精神論の夫婦本を何冊か途中で投げた人ほど、この本は合うと思う。
効いた章: 「黙示録の四騎士」
この本の一番の収穫はここだった。ゴットマンは離婚に向かう夫婦の会話に現れる4つのサイン(批判・侮辱・自己弁護・逃避)を「四騎士」と呼んでいて、特に侮辱(軽蔑)が最強の離婚予測因子だと言う。
これを読んだ時、うちの会話を録音して聞いたような気分になった。自分は「逃避」(話し合いになると黙る・席を立つ)の常習犯で、妻は「批判」から入る癖があった。冷めたこと自体より、冷めた後の会話の型のほうが危険だという視点は、この本で初めて手に入れた。愛情のない夫婦の記事で「無関心はセーフ、軽蔑はアウト」という基準を書いたのは、元をたどればこの章です。
自分の家庭の会話に四騎士が何匹いるか数えるだけでも、この本の値段の元は取れる。
半分効いた章: 「修復の試み」
喧嘩の最中に出る「ごめん、言い方が悪かった」「ちょっと休憩しよう」みたいな緊張を緩める一手を、ゴットマンは「修復の試み」と呼ぶ。うまくいっている夫婦は修復の試みが多いのではなく、相手の修復の試みを受け取る率が高いらしい。
これは効いた。妻が喧嘩の途中で話題を逸らすのを「逃げた」と解釈していたが、あれは修復の試みだったのかもしれないと読み直せた。一方で、本に載っている修復フレーズ集はアメリカの夫婦の台詞なので、そのまま口に出すと演劇になる。考え方だけもらって、台詞は自前で用意する必要がある。
読み飛ばしていい章: 儀式と愛情マップの後半
「愛情マップ」(相手の内面世界を知る質問リスト)や、二人の儀式を作る章は、正直きつかった。質問リストを冷めた状態の夫婦が向かい合ってやる姿が想像できない。やれるくらいなら悩んでいない。
ここは「関係がまだ温かい夫婦の予防医学」のパートだと思う。冷めてから読む本としては、前半の診断パート(四騎士・修復の試み)が本体で、後半のワーク集は関係が少し戻ってからの宿題でいい。自分も後半は流し読みで、戻って読んだのは1年後だった。
買う前に知っておくべきこと
- 分厚い。読書習慣がないと最初の研究紹介で力尽きるので、四騎士の章から読み始めるのを勧める(章単位で独立して読める)
- 訳書の文体は少し硬い。内容で読む本で、文章を楽しむ本ではない
- 夫婦でやるワークが多いが、一人で読んで一人で使える知識だけでも十分回収できる。妻に渡す必要はない(うちは渡していない)
- 「これを読めば愛情が戻る」本ではない。壊れ方の解像度を上げる本。戻し方は愛情は戻るのかの記事に書いた通り、結局は自分の家庭での試行錯誤になる
書籍はAmazonや楽天で『結婚生活を成功させる七つの原則』(ジョン・M・ゴットマン著)で検索すれば出てきます。中古も多く出回っている定番書です。
この本が合わない人
軽蔑フェーズまで進んでいる夫婦には、診断が「答え合わせ」になるだけで処方箋にならない可能性がある。その段階なら本より第三者を入れる選択肢が先だと思う。それと、活字より対話で整理したい人も同様。
冷めた時期に読んだ夫婦本の中で、再読したのはこの一冊だけです。愛情の本ではなく、構造の本だったから読めた、というのが正直なところ。感情が死んでいる時期は、感情の本より構造の本が効きます。